お客様事例 | チューリッヒ生命保険株式会社

新たな変額保険の迅速な開発と市場投入を支援

 

2025年4月、チューリッヒ生命保険株式会社(以下、チューリッヒ生命)が変額保険「フューチャーリンク」の販売を開始した。万一の保障と資産運用を両立できる変額保険は、働き盛りの30~50代を中心に人気が高まっている。チューリッヒ生命は、強みである開発力を発揮して短期間での商品・システム開発を達成し、新市場への参入を果たした。同社の基幹システムを提供するDXCテクノロジー・ジャパン(以下、DXC)は、「フューチャーリンク」の開発に際して変額保険の要件に応える「契約管理システム」の機能拡張を全面的にサポートするとともに、変額保険分野における独自の知見を提供し、プロジェクトを成功に導いた。

変額保険「フューチャーリンク」の開発

チューリッヒ生命が日本でビジネスを開始したのはいまからちょうど30年前の1996年――以来、病気やケガに備える医療保険やガン保険などの保障性商品を強みに、お客様からの支持を拡大させてきた。顧客ニーズを捉えた保険商品を積極的に開発・提供し、2025年12月には保有契約件数が170万件を突破するなど、日本市場でのポジションを確かなものとしている。同社 執行役員 CITOの金子稔功氏は次のように話す。

「チューリッヒ生命は、世界有数の保険グループとして200カ国以上で事業を展開するチューリッヒ・インシュアランス・グループの一員です。日本ではガン保険や医療保険といった保障性商品を主力としてきましたが、2025年4月に満を持して変額保険『フューチャーリンク』の提供を開始しました。万一に備える保障と、将来のための資産形成を両立させ、働き世代の方々が安心して資産作りを始められる保険です」

変額保険の特徴は、万一の保障とあわせて保険料の一部を積立部分として特別勘定で運用し、主に投資信託等を通じた運用成果により契約者の資産形成を目指す点にある。保障と資産形成を両立できる変額保険は、30~50代を中心に急速に人気が高まっている。商品企画部 部長の平川大純氏は次のように続けた。

「手頃な保険料で保障を確保しつつ資産形成が可能になるよう『フューチャーリンク』の設計を工夫しました。運用先の特別勘定は、お客様のニーズに合わせて9種からお選びいただけます。また、ガン、心疾患、脳血管疾患の3大疾病で所定の状態になったとき、以後の保険料の払込を免除するオプションを用意するなど、競争力の高い変額保険として完成させました」

保険ビジネスでは業務とシステムを切り離して考えることはできない。チューリッヒ生命の主力は、あらかじめ決められた一定額を保障する「定額保険」だが、フューチャーリンクのような「変額保険」は運用成果によって保障額が変動(最低保証あり)する。特別勘定管理や日次評価といった変額保険固有の複雑なシステム処理も加わるため、フューチャーリンクの業務要求に応えるには基幹システムの大幅な見直しが必要だった。

「フューチャーリンクの市場投入に向けて、私たちが最も重視したのはスピードです。変額保険市場が成長期を迎えているこのタイミングで、お客様にとって魅力的な変額保険の販売をいち早く開始することを最優先とし、DXCとともに商品開発とシステム開発を一体的に推進していきました」(金子氏)

プロジェクトは単なるシステム開発ではなく、チューリッヒ生命が保障性商品中心の事業領域から資産形成分野へ事業を拡大する重要な戦略施策の一翼として位置づけられた。


契約管理システム「LIFE/J」を変額保険に対応

DXCは、1996年よりITパートナーとしてチューリッヒ生命保険をサポートしている。同社は、DXCが開発・提供する生保向け基幹業務パッケージ「LIFE/J*1」と、高性能なモデリングエンジンを備えた商品設計システム「VP/MS*2」の長年にわたるユーザーである。金子氏は次のように話す。

「LIFE/Jはチューリッヒ生命のビジネスの中核を支える『契約管理システム』であり、契約情報やお客様情報を統合的に管理するとともに、契約から保全まで数十年に及ぶ保険業務を一貫して支援しています。お客様や販売代理店が保険の設計や申し込みを行うためのフロントシステム、引き受け査定を行うシステム、契約内容のメンテナンスを行うシステムなどをSalesforceで構築しており、それぞれがLIFE/Jのデータを参照・更新する仕組みが整えられています」

フューチャーリンクを最短で市場投入するというチューリッヒ生命の選択は、変額保険システムの新規構築ではなく「LIFE/Jの機能拡張で変額保険に対応する」というものだった。アカウントデリバリーリードとしてプロジェクトに参画したDXCの中島圭司氏は次のように話す。

「LIFE/Jをカスタマイズし機能開発を最小限に抑えて高品質・短納期・コスト最適化の実現を目指す。導入済みのモデリングエンジンVP/MSを活用し変額保険特有の複雑な保険料計算に対応する――というのがDXCの提案の骨子でした。変額保険の商品・業務・システムに精通したエキスパートの知見を提供できることもDXCの大きな強みです」

情報システム本部 開発部 部長(プロジェクト当時)の宮本康志氏は次のように振り返る。

「フューチャーリンクでは、特別勘定管理、日次基準価額連携、変額保険特約管理といった私たちにとっては知見の少ない要件をシステム化する必要がありました。中でも、投資信託の運用成果を日次でお客様の持ち分に反映する複雑な処理は重要です。こうした様々な要件を考慮し、契約管理システムの二重持ちを回避する観点からも、『DXCのアドバイスを受けながらLIFE/Jの機能拡張で変額保険に対応する』という戦略は私たちにとって最も合理的でした。LIFE/Jを活用することで、既存資産を最大限に生かしながら、品質・スピード・コストのバランスを実現できると判断しました」

 

*1 LIFE/Jは現在、DXCの保険業界向け次世代ビジネスプラットフォームの一部であるDXC Assure Integralとして提供されています。

*2 VP/MSは現在、DXCの保険業界向け次世代ビジネスプラットフォームの一部であるDXC Assure Productとして提供されています。


高品質・短納期・コスト最適化をいかに実現するか

DXCは変額保険に精通したエキスパートと、チューリッヒ生命の業務を知るLIFE/Jの開発保守メンバーを中心とするプロジェクトチームを編成。さらに、日本のお客様専任のオフショアセンターによる開発支援体制も整えた。DXC側でPMを担当したDXCの田村博氏は次のように話す。

「要件定義などの上流工程をアドバイザリーチームがサポートし、LIFE/Jの開発保守メンバーがシステム開発をリード、さらにオフショアセンターが強力なリソースを提供する陣容です。これにより、高い品質を確保しつつ開発スピードを高め、コストも抑制できると考えました」

チューリッヒ生命側のPMとしてプロジェクト全体をリードした情報システム本部 開発部 担当課長の土田雄介氏は次のように話す。

「早期のフューチャーリンク市場投入を最優先とし、フェーズ1の開発スコープを新規契約にかかる機能、保険契約異動を特別勘定資産に反映させる機能など、変額保険の販売開始にあたって必須の業務要件に絞り込みました。契約後に必要となる機能群の開発をそれ以降のフェーズに寄せることで、フェーズ1のリリースまでのタイムラインを最短にすることを狙いました」

変額保険商品の設計には、高性能なモデリングエンジンを備えた商品設計システム「VP/MS」が活用され、短期間での開発に貢献した。

「これまでは主に定額保険の商品設計にVP/MSを活用してきましたが、フューチャーリンクの開発でもVP/MSは大きな威力を発揮しました。本プロジェクトを通じてVP/MSとLIFE/Jによる契約管理システムとの連携が強化され、より使いやすいシステムへと進化しています」(土田氏)


わずか14カ月で変額保険を市場に投入

プロジェクトは14カ月という短期間で開発を完了し、計画通り2025年4月に販売を開始した。契約管理システム「LIFE/J」も変額保険を販売するための機能拡張を果たし、これに続く保全フェーズの機能開発も完了させている。

「複雑なシステム要件や商品設計により難易度が高いとされる変額保険商品の市場投入をわずか14か月で実現し、変額保険市場が活況を呈する中、絶好のタイミングでフューチャーリンクの販売を開始することができました。品質・納期・コストをしっかりと守って、プロジェクトを成功に導いてくれたDXCには本当に感謝しています。中でも、私たちが必要としていた変額保険の商品設計や数理などの知見をDXCに提供してもらえたこと、LIFE/Jの開発保守チームのリソースを全面的にプロジェクトに投入できたことが大きな成功要因だったと考えています。DXCとの協業によって整備されたのは単なるシステムではなく、チューリッヒ生命の事業拡大を支える重要な基盤です」と金子氏は評価する。

アドバイザリーとしてプロジェクトに参画し、難易度の高いミッションを完遂したDXCの儀武太一氏は次のように振り返る。

「プロジェクトの立ち上げとともに参画し、変額保険の開発にかかる課題や検討事項を洗い出しながら、実行計画の具体化をご支援してきました。早い段階でしっかりと基本方針を策定し、合意いただけたことが非常に大きかったですね。共通の目標と向かうべき道筋が明確になり、変額保険の業務プロセスを着実にLIFE/Jに落とし込んでいくことができました」

フロントシステムであるSalesforceとの連携部分は過去最大の開発規模になったが、「DXCには、プロジェクトのボトルネックになりがちなベンダー間の調整もスムーズに運んでもらえた」(土田氏)という。

フューチャーリンクとこれを支えるLIFE/Jの進化は続く。金子氏は「DXCにはこれからも、豊富な知見を活かした支援を期待している」と話しつつ、次のように結んだ。

「フューチャーリンクがさらに進化し続けていくには、よりスピーディかつコスト効率の高い開発が欠かせません。高い品質を維持しながら開発効率を追求するには、バイブコーディングを含む生成AI技術の活用が欠かせないと考えています。DXCには、私たちの基幹システムをしっかりと守り、さらに進化させていく、その両面での活躍を強く期待しています」


チューリッヒ生命保険のみなさま

成果の概要

  • 変額保険の新商品「フューチャーリンク」を計画通り2025年4月にローンチ
  • チューリッヒ生命、DXC、関連パートナーが一体となって契約管理システムの機能拡張を含む開発を推進し、高品質、短納期、コスト最適化の目標を達成
  • 定額保険と変額保険を「LIFE/J」に統合し契約管理システムの二重持ちを回避
  • 「LIFE/J」をコアとし、フロント側のSalesforceと連携する柔軟なシステムを実現

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