2026年6月2日

ServiceNow Knowledge 2026 現地レポート

AIガバナンスの新時代と、日本企業のDX推進を支えるServiceNowの進化

By バンダリ・アジット、都留 崇之



2026年5月、米国ラスベガスで開催されたServiceNow最大の年次カンファレンス「Knowledge 2026」に参加しました。本記事では、このイベントで発表された最新のAI技術トレンド、日本市場への示唆、そしてDiamond Sponsorとして参加したDXCの取り組みについて、現地で体感したリアルな視点からレポートします。
 

ServiceNow Knowledge とは ― ServiceNowエコシステムの「震源地」

ServiceNow Knowledgeは、ServiceNowの主催により毎年開催されるグローバルカンファレンスです。ユーザー企業、導入パートナー、テクノロジーリーダーが一堂に会し、製品ロードマップの発表、先進事例の共有、ハンズオンラボ、そしてパートナー間のネットワーキングなどが行われます。今後のServiceNowの方向性がここで示され、エコシステム全体の「次の一手」が決まる場と言っても過言ではありません。

2026年の参加者数は20,000名以上。日本からも約460名(ユーザー企業・導入パートナー含む)が参加*しており、年々その数は増加しています。日本を含む世界各国の市場でServiceNowの存在感が高まっていることを、参加者数からも実感しました。

会場内には大小さまざまな講演ホールの他に、テーマ別・各スポンサーのブースが立ち並ぶExpoエリア、ミーティングセンターなどが設置されています。Expoエリアはまさにお祭り状態で、大音量の音楽やオリジナリティあふれる装飾が会場を盛り上げます。アフターパーティは話題の球体型アリーナ「Sphere」で開催され、バックストリート・ボーイズのライブパフォーマンスが行われるなど、テクノロジーカンファレンスの枠を超えたエンターテインメント性も、このイベントの大きな特徴です。

 

* Knowledge 2026内Japan Closingセッションで発表された速報値


広大なExpoエリア


Knowledge 2026のキーワード:AIエージェントの「実用化」と「統制」

今回のKnowledge 2026で最も強く感じたのは、AIが「実験段階」から「企業の日常業務に組み込まれる存在」へと完全に移行したということです。そして同時に、AIを安全かつ効果的に使いこなすための「ガバナンス」が、もはや避けて通れないテーマとして浮上していました。

EmployeeWorks ― 全従業員がAIの恩恵を受ける時代へ

発表されたServiceNowの新機能の中で、私たちが特に注目したのが「EmployeeWorks」です。

これまでのServiceNowのAI機能(Now Assist)の多くは、主にITサービスデスクの担当者やオペレーターなど、リクエストを「処理する側」を支援するものでした。Moveworks買収に伴い新たに提供が始まったEmployeeWorksは、この構図を根本から変えます。一般の従業員が「有給休暇を申請したい」「PCが壊れた」といった会話形式の質問を投げるだけで、AIが関連するナレッジを(ServiceNowの外部のシステムなどを含めて)横断的に検索して提示し、さらにはAI間の対話を含むタスクの実行まで自律的に行ってくれるのです。

単なるFAQボットではなく、オンボーディング、休暇申請といった実際のワークフローをAIエージェントが完結させる。従業員がコア業務以外に費やしている時間と労力を大幅に削減できるこの機能は、日本企業が推進する働き方改革・生産性向上のニーズとも高い親和性があり、今後の普及が強く期待されます。

AI Control Tower ― 企業内のAI活用を一元的に管理・監視・ガバナンスするための司令塔

もう一つの大きなハイライトが「AI Control Tower」です。

企業内でAIエージェントが増えていくと、「どのAIが、いつ、何をしているのか分からない」というブラックボックス問題が必ず発生します。AI Control Towerは、この課題に対するServiceNowの回答です。

その仕組みは非常にServiceNowらしいものでした。組織内で稼働するすべてのAIエージェントを、CMDB(構成管理データベース)上のCI(構成アイテム)として登録・管理します。これにより、AIエージェントの一覧管理、リアルタイム監視、ポリシーベースの権限制御が可能になります。

私たちはKnowledge Playgroundと呼ばれる実践型学習エリアで、AI Governanceのハンズオンセッションにも参加しました。チームでビジネスシナリオに最適なAIエージェントを選定するワークショップ形式のセッションでしたが、人間のチームが時間をかけて議論した選定プロセスを、ServiceNowのAI Control Towerがわずか数秒で自動実行する様子にはとても驚かされました。

キーインサイト

AIエージェントが企業内で当たり前に使われる時代において、ServiceNowは「AIを使うためのプラットフォーム」から「AIを統制するためのプラットフォーム」へと進化しています。この方向性は、ガバナンスを重視する日本企業にとって、ServiceNow導入の新たな動機付けになると確信しました。

Now Assistライセンスのバンドル化(AI-led Pricing & Packagingの発表) ― 導入障壁の解消

日本市場にとって最もインパクトの大きい発表の一つが、ライセンス体系の変更です。

これまでNow Assist(ServiceNowのAI機能)は追加オプションとして提供されていたため、導入を検討しつつもタイミングを見計らっていた企業も少なくありませんでした。今回発表された新ライセンス形態では、Now AssistやAI Control Tower、Workflow Data Fabricなどがすべての利用プランに標準搭載されます。これにより、ServiceNowをご利用のすべての企業が、各々の状況に応じた最適なプランを選択するだけでAI機能を活用できる環境が整いました(新ライセンス形態への契約更新手続きは必要です)。

この発表の反響は大きく、私たちが同行していた日本のお客様からも、帰国後すぐにNow Assistの活用を加速したいとのお声をいただきました。「関心はあったが、導入のきっかけを探していた」という企業の中には、今回のライセンス体系の変更に背中を押され、「AI機能をどう使うか」という意思決定へと前進するケースも少なくないと思います。日本市場における活用の本格普及が、ここから一気に加速すると期待しています。

DXCブース内各所にも、AIに関するメッセージが


日本企業の先進事例 ― 中部電力CTIのAIサービスデスク

ServiceNowによる発表の他に注目を集めるのが、さまざまなユーザー企業による事例セッションです。中でも、私たちが特に注目したのは中部電力グループのIT子会社である株式会社中電CTIによるセッション「Building an AI Service Desk with Now Assist」です。

セッションでは、Now Assistを活用したAI サービスデスクの導入における成功要因と、直面した課題の克服方法などが詳細に共有されました。日本企業がグローバルの舞台で発表し、積極的なAI活用の取組みについて大勢の聴衆から高い評価を受ける姿は、私たちにとっても大きな刺激となりました。

この事例発表を通して、日本企業のServiceNow活用が世界水準に達していることを実感しました。国内での事例の積み重ねを経て、日本初の活用アプローチがグローバルで評価される流れは今後さらに加速するはずです。DXCも、日本のお客様と共に歩む中で得られた知見や成果を積極的に発信し、ServiceNowエコシステムの発展にさらに貢献していきたいと強く感じました。

DXC Technology ― Diamond Sponsorとしての存在感

DXCは今回、Knowledge 2026にDiamond Sponsorとして参加しました。会場内の大型ブースだけでなく、占有のレストラン(Sugarcane)、キーノートのライブ配信、招待制のディナー、個別商談用の会議室など、来場者との交流・議論を促進するためにさまざまな空間とプログラムを提供しました。DXCのServiceNowビジネスをグローバルワイドでリードするRamnath Venkataramanも現地でお客様をご案内し、リーダー間の交流を積極的に行いました。

ServiceNowのリーダーシップからも注目を集め、Amit Zavery氏(President, CPO & COO)、Colin Fleming氏(CMO)、そしてServiceNow Japan執行役員社長の鈴木正敏氏もDXCブースを訪問されました。

DXCブース


Breakfast Session:ServiceNow × Boomi連携の可能性

DXCが独自に開催したBreakfast Sessionでは、ServiceNowとBoomiのコラボレーションにより、データ統合の可能性についてご紹介しました。

ServiceNowのIntegrationHubが標準的なシステム連携に強みを持つ一方、Boomiは大量データのバッチ処理や、SAP、Workday、Salesforce、Oracle、Active Directoryなど多対多のデータ連携・システム統合に威力を発揮します。またBoomiはノーコード/ローコードツールなので、ドラッグ&ドロップで視覚的にフローを設計できます。

日本企業がServiceNowの活用をITSM以外の領域(顧客サービス、HR、資産管理など)に拡大していく中で、既存の基幹システムとのデータ連携は避けて通れない課題であり、Boomiの得意領域によって広がる可能性は、非常に示唆に富むものでした。セッションに参加いただいた日本企業のお客様からも多数の質問が寄せられ、このテーマへの関心の高さを実感しました。


DXCの強み ― 「技術力を持つテクノロジーパートナー」としての評価

Knowledge 2026の会場で、私たちが改めて実感したのは、日本市場におけるDXCの存在意義です。

DXCブースに立ち寄られた日本企業のお客様から、「コンサルティングだけでなく、技術力のある会社を探していた」という声を直接いただきました。大手コンサルティング会社との協業では期待する技術レベルのエンジニアがアサインされないという課題を抱える企業が、DXCのエンジニアリング力に期待を寄せてくださっているのです。

ServiceNowの導入・活用が高度化するにつれ、ID管理やデータ統合、AIガバナンスの設計など、深い技術力が求められる領域が増えています。コンサルティング力と技術力の両方を兼ね備えたテクノロジーパートナーとしてのDXCは、お客様の課題に対して、構想段階から実装・運用まで一貫してご支援することが可能です。

また、DXCブースを担当したグローバルチームの多様性も印象的でした。多地域・多文化のメンバーが世界中からの参加者に対応する姿は、真のグローバル組織としてのDXCの強みを体現していました。

多様性に富むDXCチーム


技術の最前線で得た「気づき」と抱いた「決意」

Knowledge 2026の会場を歩く中で、私たちが最も強く感じたのは、ServiceNowというプラットフォームの進化のスピードと方向性の明確さです。

ServiceNowは、もはや単なるITサービス管理ツールではありません。AIエージェントが企業のあらゆる業務に浸透していく時代において、その統制基盤(AI Control Tower)、従業員体験の革新(EmployeeWorks)、そしてデータ統合(Boomi連携)を包括的に提供する「企業AIプラットフォーム」へと進化しています。

DXCにとって重要なのは、そうして得た気づきを、具体的なテーマへと繋げていくことです。例えば、日本市場においては、以下のようなテーマでお客様をご支援できると考えました:

  • Now Assistバンドル化により、これまでAI活用に踏み出せなかったお客様を全社規模で推進
  • EmployeeWorksを活用した、全従業員の生産性向上と働き方改革の実現
  • AI Control Towerによる、ガバナンスを重視される日本企業が安心してAIを導入できる環境の構築
  • ITSM以外の領域(HR、顧客サービス、資産管理)へのServiceNow活用拡大のご支援
  • Boomi連携による、既存基幹システムとのシームレスなデータ統合の実現

おわりに ― 世界の知見を日本のお客様へ

Knowledge 2026は、ServiceNowの未来を「予測する場」ではなく、「すでに始まっている現実を体感する場」でした。AIエージェントが企業業務に組み込まれ、それを統制する仕組みが整い、全従業員がAIの恩恵を受ける―― その世界は、もう目の前に来ています。

私たちDXCは、こうしたグローバル最前線の知見を日本のお客様に届け、ServiceNowの力を最大限に引き出すパートナーとして、技術力と提案力の両面でお客様のDX推進を支援してまいります。これからも進化し続けるServiceNowのエコシステムと共に、私たちDXCもその最前線に立ち続けます。

DXCはServiceNowのグローバルパートナーです。
DXCのServiceNow関連サービスについてはこちら

※ServiceNowおよび関連する製品名称、ロゴは米国および/またはその他の国におけるServiceNow, Inc.の商標または登録商標です。
※Boomiは、Boomi, LP. またはその関連会社の商標または登録商標です。
※本記事の内容は筆者個人の見解に基づいており、所属する組織やServiceNowの見解・発言を公式に代表するものではありません。




著者

バンダリ・アジット(Ajit Bhandari)
エンタープライズアプリケーション&SaaS事業部 ServiceNowプラクティス、アソシエイトマネージャー。プロジェクトマネジメント、プリセールス、アカウントリードを担当。国内大手自動車メーカー向けのServiceNowプロジェクトを管理。日本で16年以上の就業経験と、9年以上のプロジェクトマネジメント経験を有しています。

都留 崇之(Takayuki Tsuru)
エンタープライズアプリケーション&SaaS事業部 ServiceNowプラクティス、デリバリーチームマネージャー。ITSM分野のプロジェクト・運用保守に15年程従事。




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