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成長の原動力 | 2024年12月9日
人間とマシンをつなぐインターフェースの構築
テクノロジーやマシンは、その進化にともない、産業界や日常生活における重要性を増しています。またコネクテッド化が進み、より直感的かつフレキシブルになり、新しい効果的な方法による人間との対話が可能になっています。
こうした中で、人間のオペレーターとマシンやシステムとの対話を促進するヒューマンマシンインターフェース(HMI)の利用が拡大しており、患者により良い医療を提供するために医師が使用するツールや、製造現場における作業員とマシンの架け橋として活用されています。
先進的なHMIソリューションが特に有用な点として、特定のタスク向けに設計されているため、ユーザーによるインプットの提供、フィードバックの受け取り、システム状態の監視、意思決定に必要な情報へのアクセスなどを簡単かつ迅速に行えることが挙げられます。
ヒューマンマシンインターフェースは、特定の要件に合わせて構築されたシンプルなデジタルインターフェースを介して、人間とマシンをつなぐソフトウェアソリューションです。こうしたインターフェースは、シンプルなプッシュボタンパネルから洗練されたタッチスクリーンディスプレイや、複雑なグラフィカルユーザーインターフェースまで多岐にわたり、いずれも認知負荷を最小限に抑え、ユーザビリティを最大化するように設計されています。
めまぐるしく変化するモータースポーツの世界では、人間の創造力とマシンの正確性の融合が進んでいます。レースをリードできるか後方集団に埋もれてしまうかは、コンマ何秒の差で決まる。それがモータースポーツです。
そこでスクーデリア・フェラーリHPは、サーキット内外でのパフォーマンスを最大化するために、ヒューマンマシンインターフェースシステムに着目しました。
スクーデリア・フェラーリHPチーム代表のFred Vasseur氏は次のように説明します。「私たちのアプローチは根底から変わりました。今ではサーキットをわずか200メートル走行するだけで、その車両についてほぼすべてを把握できます。この情報フローは、状況に素早く適応するための最善の方法であり、パフォーマンスにとって極めて重要です」
高い競争力を維持するために、スクーデリア・フェラーリHPチームでは、ドライバーと車両の対話を改善し、最新のテクノロジーシステムのメリットを最大限に引き出す方法を絶えず模索しています。
同チームは、収集される膨大なデータを活用するための、非常に高速かつシンプルで直感的な方法を必要としています。またドライビングを妨げることなく情報をスムーズにやり取りするには、適切な接続環境の構築も必要です。これは、フェラーリのスポーツカー開発チームが目指している目標でもあります。
フェラーリの電気・電子システム開発責任者のAlessandro Tanzi氏は次のように述べています。「ドライビング機能に関して、私たちは『目はコースに、手はステアリングに』を合い言葉にしています。これはドライビングパフォーマンスを向上させるための基本であり、時間のかかる複雑なやり取りに煩わされず、ステアリングから手を離さずにいられることが必要です」
適切な接続環境を確立して、F1チームやスポーツカーチームが、何百ものアクティビティにわたって常に連携できるようにすることは、意思決定を行う人間、複雑なタスクを実行するマシン、その上で実行されるインテリジェントソフトウェアをつなぐ強力なインターフェースの構築に向けた進化の出発点となります。
車載の電子機器、ソフトウェア、制御装置は、フェラーリのレーシングカーや市販車のエクスペリエンスに欠かせない要素ですが、スマートHMIテクノロジーの真のポテンシャルは、データを分析して、その結果をシンプルなドライバーアクションへとシームレスに変換する能力、さらにはドライバーニーズをも予測する能力にあります。チップトゥークラウド(Chip-to-Cloud)インフラストラクチャと呼ばれるアプローチの一環として、クラウドベースのリソースへのシームレスな接続を確立することで、車両は膨大なデータにアクセスして、複雑な計算を行い、周囲の状況をリアルタイムで把握して、収集し処理したデータに基づく意思決定を行うことが可能になります。周囲の状況をリアルタイムで把握することは、より迅速な応答、安全性の向上、ドライバーニーズの予測につながります。
DXC Luxoftのユーザーエクスペリエンス設計担当バイスプレジデントのOlaf Preissnerは、このチップトゥークラウドの統合により、サーキットと公道の両方で実現されるユニークで革新的なドライブエクスペリエンスについて、次のように説明します。
「真のスマート音声アシスタントが車に同乗していることを想像してみてください。目的地までのナビゲートに加えて、会話をしたり、アイデアのブレインストーミングを行ったりすることも可能になります。車での移動中にできることが様変わりし、移動の意味そのものが大きく変わります」
フェラーリの最新スポーツカーであるF167およびF80は、HMIベースのインフォテインメントシステムによる、かつてなくシンプルで高速かつ信頼性の高い車載ダッシュボードが、ドライブエクスペリエンスをいかに向上させるかを示す好例です。
ドライブエクスペリエンスのさらなる向上を目指して、フレキシブルなプラットフォームベースのアプローチをとることで、余分なプロセスを回避しながら新しいシステムやアプリケーションを迅速に開発して組み込むことが容易になります。
さらにインテリジェントソリューションにより、ドライバーや自動車の製造・メンテナンスに携わる人々がより直感的な方法でアプリケーションと対話できるようになるため、自動車アプリケーションのヒューマンマシンインターフェースに革命がもたらされることが期待できます。
スマートHMIソリューションのポテンシャルを最大限に引き出すには、優れたインターフェースや演算能力だけでは不十分です。次世代のアプリケーションや高度なデータ処理を支えられるオープンインフラストラクチャに加えて、将来の成功に向けてフェラーリとともにイノベーションを推進するパートナーエコシステムが欠かせません。
DXC データ & AI 欧州自動車部門責任者のMatthias Bauhammerは次のように述べています。「先進的なソリューションを提供するには、新たなスキルと考え方が必要です。また組織レベルでは、さまざまな開発部門にわたる包括的な視点に加えて、適切なタイミングで適切なチームを結集することが求められます」
あらゆるものがつながり、デジタル化が進む今日、自動車業界では目覚ましい変革が進んでおり、新たなテクノロジーによって自動車、ドライバー、およびそれらを取り巻くインフラストラクチャ間での、より直接的なデータや情報のやり取りが可能になっています。
目まぐるしく進化するレーシングカーの世界において、フェラーリは常にイノベーションとパフォーマンスの象徴であり、可能性の限界に挑み続けています。
そのためには、現在のトレンドの活用に加えて、HMIやインテリジェントソリューションといった先進的テクノロジーの積極的な導入が欠かせません。これを支えているのが、DXC Technologyをはじめとするテクノロジーパートナーです。