2023/9/5 by Karsten Hoffmeister、Dr. Ulrich Wurstbauer ※本稿はDXC Technologyのグループ企業であるLuxoftの記事を翻訳したものです。出典:https://www.luxoft.com/blog/software-factory-for-autonomous-driving 概要 SDV開発の複雑性が増大しており、効率性改善のペースを上回っているMBSEとソフトウェアファクトリーによって、一貫性を維持しながらスピードと効率を向上させることが可能新しいテクノロジーの可能性を実現し、複雑性と効率性の隔たりを解消するには、文化の変化が必要 ソフトウェアデファインドビークルの複雑性に立ち向かうには、開発手法の変更が必要 自動車業界では、生産性が向上し続けています。しかし、この直線的な生産性の成長をはるかに上回るペースで、ソフトウェアデファインドビークル (SDV) のソフトウェアの複雑性が増大しています。 この隔たりが拡大し続けるにつれて、何かを変えなければL3以降に進むことは不可能であることは明らかです。ソフトウェアの数が増え、L3に対する要件が高度になっている結果、SDVのシステムは複雑になっており、今後もその傾向は強まることが見込まれます。つまり、この複雑性は軽減できないため、効率性を向上させる必要があります。現行の手法は時代遅れになっており、現在の複雑なシステムには適していないため、新しい手法が必要なのです。 そこで、効率性を向上させる方法についてご紹介します。 モデルベースシステムズエンジニアリング モデルベースシステムズエンジニアリング (MBSE) では、(従来のドキュメントや図ではなく) モデルを利用してシステムのさまざまな側面を表します。モデルは標準言語を使用して表現されるため、関係者全員が開発中のシステムを全体的に理解できます。MBSEは複雑なシステムを構造化して表現するため、解析、シミュレーション、検証が容易になります。また、潜在的な問題を早期に特定する上でも役立ちます。変更管理が容易になることで、システムのライフサイクル全体を通じて整合性を確保できるようになります。 鍵となるMBSEとソフトウェアファクトリー 前述したように、SDVの複雑性は軽減できないことから、一貫性を維持しながら、スピードと効率性も達成することが求められます。ここで、MBSEは重要な役割を果たします。MBSEは、サプライヤーとOEMの間のコミュニケーションとコラボレーションを可能にすることで、スピードと効率性の達成を支援します。ソフトウェアファクトリーは、スピードと効率性を向上させるだけではなく、ソフトウェアの開発プロセスを自動化することで一貫性も維持します。このMBSEとソフトウェアファクトリーの組み合わせは、AIなどの最新の開発手法 (たとえば、AIを利用した解析の実行) によってさらに強化できます。 MBSEとソフトウェアファクトリーの利用方法 MBSEとソフトウェアファクトリーを組み合わせることで、一貫性を維持しながらスピードと効率性を達成するという3つの重要な要素を実現できることはわかりましたが、MBSEとソフトウェアファクトリーにはそれぞれ次に挙げる独自の要件があります。 ソフトウェアファクトリーでは、仮想検証技術を利用して「バーチャルファースト」にする必要があるコード内の技術的負債を最初から減らすために、できるだけ早期に (ハードウェアが利用可能になる前に) テストする必要があるMBSEでは、サプライヤーとOEM間のコントラクトAPIをソフトウェア層に移動する必要があるコントラクトAPIは通信層からアプリケーション層に移動する必要がある(OEMのミドルウェアの) 仮想化を有効にするには、アプリケーション層と下位のソフトウェア層との間に安定したAPIが必要。APIはすべてのOEMに共通の業界標準である必要はないが、特定の車両/プラットフォームプロジェクトにおいて安定している必要がある 企業文化は戦略に勝る 開発文化にも変化が必要です。テクノロジーの変化やソフトウェアの複雑性に対して利用できる解決策もあるものの、それらが課題として残っているのはなぜでしょうか。結局のところ、変える必要があるのは仕事の進め方なのです。本来は企業文化を変える必要性に注目すべきですが、大手の自動車会社ではあまり重視されていません。急速に増大するソフトウェアの複雑性と私たちの効率性との隔たりを解消できるテクノロジーはすでに存在します。これをうまく利用するには、意図的かつ計画的に文化を変える必要があるのです。ちなみに、購買文化にも変化が必要であり、入札による購買は本当の意味でのコラボレーションを妨げています。 エンドツーエンドの開発 Luxoftは、エンドツーエンドの開発体系全体を把握しています。私たちはお客様との数多くのプロジェクトを通して比類のない幅広い経験を積み重ねており、さまざまなシステムに関する知識を蓄積しています。お客様がどのシステムを利用する場合でも、私たちはお客様の開発目標についてアドバイスし、その目標を実現することができます。既存のテクノロジーを利用しながら、複雑性と効率性の隔たりを解消する方法について、ぜひ私たちにご相談ください。 Tech.Ad 2023カンファレンスでのKarsten Hoffmeisterのプレゼンテーション「Software factories hold the key to software-defined vehicles」(英語:ソフトウェアデファインドビークルの鍵を握るソフトウェアファクトリー) をご覧ください。 日本においては、DXCテクノロジー・ジャパンがLuxoftのサービス提供の窓口となり、お客様をご支援しております。DXCテクノロジー・ジャパンの自動車関連サービスについてはこちら。 著者について Karsten Hoffmeister 自動運転担当バイスプレジデント Luxoftの自動運転部門の責任者。以前は、同部門の技術責任者として、ソフトウェアデファインドビークルの開発に向けて主要なお客様の変革を支援してきました。自動車およびソフトウェア業界で20年以上の経験があり、そのうちの14年以上は世界クラスの企業の技術管理職として従事しました。数多くの技術論文を発表しており、Tech.Ad 2022と2023では主要講演者も務めました。 Ulrich Wurstbauer PhD. 自動運転担当技術責任者 理学博士であり、Luxoftの自動運転担当技術責任者。自動運転、機能開発、仮想検証の分野における戦略的開発を担当しています。現在はシミュレーションとデジタルツインテクノロジーを主とした自動車テクノロジーに徹底的に取り組んでいますが、それ以前は固体物理学の分野で博士号を取得し、その分野で博士研究員も務めました。非常に特異な量子物理学的挙動を示す、新しく開発された二次元物質であるグラフェンについて研究していました。4件の国内/国際特許出願に加えて、これまでに12本以上の研究論文を執筆しています。
Karsten Hoffmeister 自動運転担当バイスプレジデント Luxoftの自動運転部門の責任者。以前は、同部門の技術責任者として、ソフトウェアデファインドビークルの開発に向けて主要なお客様の変革を支援してきました。自動車およびソフトウェア業界で20年以上の経験があり、そのうちの14年以上は世界クラスの企業の技術管理職として従事しました。数多くの技術論文を発表しており、Tech.Ad 2022と2023では主要講演者も務めました。
Ulrich Wurstbauer PhD. 自動運転担当技術責任者 理学博士であり、Luxoftの自動運転担当技術責任者。自動運転、機能開発、仮想検証の分野における戦略的開発を担当しています。現在はシミュレーションとデジタルツインテクノロジーを主とした自動車テクノロジーに徹底的に取り組んでいますが、それ以前は固体物理学の分野で博士号を取得し、その分野で博士研究員も務めました。非常に特異な量子物理学的挙動を示す、新しく開発された二次元物質であるグラフェンについて研究していました。4件の国内/国際特許出願に加えて、これまでに12本以上の研究論文を執筆しています。