2024/1/24
by Oleksii Boichev

※本稿はDXC Technologyのグループ企業であるLuxoftの記事を翻訳したものです。出典:Automotive location-based services: Making your digital travel assistant a reality

 

概要

  • 移動中に位置情報サービスを通じてさまざまなサービスにアクセスしたいというユーザーのニーズを、自動車メーカーとベンダーは認識しなければならない
  • Luxoftは、位置情報サービスに関するユーザーのあらゆるニーズに応える、高度でシームレスなナビゲーションユーザーエクスペリエンスをさまざまなデバイスで提供
  • デジタル地図は、現実の世界が十分に反映されたものとして認識されるようになっている

 

デジタルサービスがますます普及するにつれて、世界や周囲の環境に対する私たちの認識は変化しています。世界に対する私たちの見方は、デジタル機能の拡大によって影響を受けているからです。その結果、旅行や観光に対する私たちの期待も進化しています。私たちは現在、安全性と豊かな体験を最優先事項として考えており、オンライン接続のない車はもはや、紙の地図に等しく役に立ちません。位置情報サービスこそ、その期待に応える鍵となります。

Luxoftは、位置情報サービスに関する高度な知識とスキルを備えた信頼あるパートナーであり、自動車業界のお客様のソフトウェアデファインドな変革をいつでも加速できます。私たちは、位置情報サービスの開発をフルスタックでサポートしており、地理空間データの収集や、アノテーション、処理から、エレクトロニックホライズン(ドライバーの視界から外れている地図地形の取り込み、および今後の道路ネットワークの継続的な予測)、地図のプロビジョニング、インダッシュ(ダッシュボード埋め込み)型ナビ、ポータブルナビに至るまで、さまざまなサービスやアプリケーションに対応しています。マルチモーダルなナビゲーションエクスペリエンスと、駐車場が簡単に見つかる機能をエンドユーザーに提供することなどに重点を置いており、出発前から電気自動車(EV)の旅を楽しく計画できます。屋内でも道路上でも、位置情報サービスがユーザーをサポートします。

地図と本:昔ながらの旅行計画

地図を使って車での旅行を計画したことがあるでしょうか。そうであれば、最適なルートはどれか、どの交差点で曲がって別の道に入ればよいかなど、疑問は尽きなかったでしょう。さらには、旅行中の正確な走行距離、現在の道路の状況、目的地への到着時刻、ルート上の通行料や道路工事の予定といった情報も必要だったでしょう。

結局、時間がかかった割には、複雑で要領を得ない道順や不安だらけの計画が出来上がってしまうのです。

デジタル時代の旅行計画: 瞬時に得られる答え

デジタル地図とリアルタイムの交通情報があれば、最適なルートを数秒で見つけられるだけでなく、信頼できる到着予定時刻(ETA)もわかります。さらに、別のルートや、それぞれのルートの交通状況もわかります。この柔軟性とスピードをもう一歩先まで進化させると、旅の途中で得られる体験について、さらに多くの情報を得ることができます。たとえば、次のようなことを質問できます。

  • どこに車を駐車できるか。立体駐車場や大規模な屋内駐車場の場合には、正確な駐車場所までの案内を利用できるか
  • 長距離の移動途中に、犬の散歩や、子供たちの休憩に適した停車地はあるか
  • 駐車後、最終目的地まではどのような交通手段を利用できるか
  • 運転中に通り過ぎる地域に何か興味深いものがあるか。現在、その地域でイベントが開催されているか
  • どのような交通規制、通行料、環境ゾーンがあるか。その地域での運転時に知っておくべきことが他にあるか
  • いつ車を充電する必要があるか。どのくらい時間がかかるか。充電場所を予約できるか。予約した充電スタンドの正確な場所はどこか
  • 車の充電中に何かできるか。昼食はとれるか。充電スタンドの近くに娯楽施設があるか。建物内にあるレストランの正確な位置をどうやって調べればよいか

質問できることは無限にあります。しかし、最も素晴らしいのは、すべての質問に対してすぐに答えを得られるということです。

次のステップ: 最新のオンライン情報

デジタル化された地図が利用できるようになった今、質問への答えを得るために必要なのは、旅行中にオンラインになることだけです。現在では、スマートフォンやタブレットなどの個人用モバイルデバイスがインターネットに接続されていることがほぼ当たり前になっています。また、インターネットに接続されているデバイスも増え続けているため、答えを得る手間も時間も短縮されつつあります。

自動車のコネクティビティも高まっており、インターネットに接続された車両の数は急増しています。これは素晴らしいことです。というのも、オンラインであれば、信頼できる最新のデータを常に手に入れることができるからです。さらに、もしこうしたデータが、オンライン状態で移動中の膨大な道路利用者からのデータストリーム分析によって生み出されれば、シェアードモビリティの可能性が広がります。

しかしこれは同時に、別の技術的な課題を生み出します。それは、膨大な量のデータを瞬時に処理しなければならないことです。この技術的な課題を引き受けているのが、HEREや、Microsoft、Amazon、Googleなどの大手の地理空間データ処理企業です。これらの企業は、業界が必要とするソリューションのためのカスタムデータ処理と位置情報サービスの開発を支えるプラットフォームを提供しています。これらのプラットフォームのサポートによって、シェアードモビリティが実現されています。屋内ナビゲーション、駐車場情報、マルチモーダルルート検索、その他の高度な位置情報の利用シナリオを始めとしたさまざまな可能性が現実のものとなっているのです。

道路上での安全確保

位置情報サービスは、ユーザーエクスペリエンスに加えて、交通安全にも重要な影響を与えます。車からデータを収集し(車がデジタルセンサーになるため)、クラウドプラットフォームで処理することで、詳細なデジタル地図を作成できます。これらの地図は、最新のデータで内容が充実し、高解像度であり、継続的に更新されるため、常に最新の実際の状況を反映しています。これは、交通安全上、大きな前進となるでしょう。ルート上の悪天候、周辺地域の危険な道路状況(凍結や車線規制など)、今後の走行区間での交通障害(交通渋滞や予期しなかった通行止めなど)について警告を受け取ることができるからです。事前に警告されることで、警戒感が高まり、事故の防止につながります。

非常に詳細な地図は、先進運転支援システム(ADAS)と自動運転(AD)を実現するための重要な要素の1つでもあります。こうした地図は、安全な自動運転の重要な機能である、推定経路の予測や、道路のクリアランス計算に必要になります。

Luxoftが選ばれる理由

以下のようなさまざまな理由により、Luxoftは位置情報サービスの世界におけるお客様の信頼できるガイド役であると言えます。

  • Luxoftは、さまざまな位置情報サービスの開発において15年以上の経験があり、特に地図データベースコンパイラ、コア機能(3D地図のレンダリングなど)、ビジネスロジックの実装、車載システム(QNX、Linux、Android Automotiveなど)への統合について豊富な経験があります。ナビゲーションHMIの開発もLuxoftのポートフォリオを強化しており、Kanzi、Qt、Flutter、JetPackなどを利用し、地図やナビゲーション向けプラットフォームの主要なプロバイダーと提携して、世界中のさまざまなセグメントのOEM向けナビゲーション製品を開発しています
  • グローバル企業であるLuxoftは、お客様の近くにいながら、世界中の最高の人材によるサービスをご提供できます(日本においてはDXCテクノロジー・ジャパンがLuxoftのプロジェクトをサポートします)
  • Luxoftはコスト効率の高い地域で事業を展開し、当社の文化とエンジニアリングのベストプラクティスを世界中に広めています

新しい名称で前進

Luxoftは、2007年から地理空間データ処理と組み込みナビゲーションソリューション開発の分野で事業に取り組んできました。市場のトレンドとともに、Luxoftの注力分野はクラウドとモバイルデバイスに徐々に移行しており、当社の提供サービスは組み込み開発の分野をはるかに超えるようになりました。Luxoftの幅広い注力分野を明確に示すために、当社では提供サービスの名称を「ナビゲーション」から「位置情報サービス(LBS)」に変更しました。

 

詳しくは、LuxoftのWebサイト(英語)をご覧いただくか、DXCテクノロジー・ジャパンまでお問い合わせください。


著者について

著者について

Oleksii Boichev
位置情報サービス責任者

Luxoftの位置情報サービス提供におけるグローバル責任者。地理空間データに造詣が深く、コンピューターインテリジェントシステムとネットワークの修士号を取得しています。12年以上にわたって自動車業界で優れた業績を上げ、ソフトウェア開発者からソリューションディレクターへと歩み続ける中で、専門知識を活かして位置情報ソリューションの分野を常にけん引しています。