ここ数年、多くのITリーダーがさまざまな場所で勤務する従業員の生産性とパフォーマンスの維持・向上のために熱心に取り組んでいます。実際、Forresterの調査では、ITリーダーの60%がまさにその理由で従業員エクスペリエンスに投資していることがわかっています。

これからの企業は、従業員の生産性に関する課題に対処するために、どのようにテクノロジーに投資するべきでしょうか。従業員の生産性と士気を下げる重大な原因となっている次の5つのテクノロジー関連の問題について考えてみましょう。

  1. 自力で問題を解決するためのセルフサービスツールがない、非効率的なITソリューションを従業員が利用せざるを得ず、ITの問題を解決するにはサポートチケットをオープンする必要がある。
  2. デバイスの問題については従業員には見当がつかないことも多く、誰かが対処してくれているのかどうか不安になる。
  3. 従業員がデバイスや周辺機器を注文、更新、管理するための簡単で直感的な手段がないため、生産性をすばやく回復することが難しい。再び通常の業務に戻るまでに何時間もかかることがよくある。
  4. IT部門が自分たちの課題に耳を傾けておらず、解決に向けた継続的なサービス改善を行ってくれないと従業員が感じている。
  5. 従業員が利用可能なサポートオプションを信頼しておらず、業務に戻るために役立つ代替手段もない。

今こそ、従業員の生産性とエクスペリエンスのレベルを上げるという目標に向かう好機です。このミッションの鍵を握るのは、いつでもどこでも従業員が利用できる常時稼働のデジタルエコシステムを育成する、利用しやすくスケーラブルなAI機能です。

生産性のハードルへの対処

これらの問題に対処するためにCIOが力を注ぐ必要があるのは、完全に統合された最新のテクノロジーソリューションから最大限の価値を引き出し、生産性を向上させる円滑なワークプレイスエクスペリエンスを提供することです。

これこそが、従業員の生産性に影響を与える重大な問題を解決する道筋だからです。自動化と自己修復機能を組み合わせ、AIと機械学習の支援を得て予測的かつプロアクティブな分析を活用することが、これらの懸念に対処する上での最良の選択肢となります。

たとえば、生成AIの活用によってITの問題にサポートスタッフの手動介入が不要になるとしたら、どれだけ価値のあることかを想像してみてください。デジタルアシスタントを介して問題が自動的に解決され、幅広いパーソナルアシスタンスが提供されるとともに、サポートスタッフは重大な問題や人的要素の多いやり取りに集中できるようになるのです。従業員は、問題解決に至るまでステップごとに支援を受けたり、適切なナレッジベースリソースに自動的かつ直感的に誘導されたりすることで、コンシューマー向けと同等のエクスペリエンスを得られます。さらに、デジタルアシスタントは必要に応じてすばやく従業員の代わりにサポートチケットをオープンしたり、自動的にサポートスタッフによる対応に切り替えたりもできます。

この成果と同じくらい重要なこととして、IT部門が常に従業員の一歩先の状態を予測できることが挙げられます。従業員が気づく前に解決したデバイスの問題の件数は、IT組織の成功の尺度の1つになります。AIの力を活用してプロアクティブに監視することで、事前解決を可能にして、従業員の作業が中断されないようにします。また、予期しない機能停止に関する情報をリアルタイムで提供できることにも大きな価値があります。最新情報が自動的に伝えられれば、従業員はサービスデスクに連絡して何が起こったのかを説明したり問題を解決しようとしたりして時間を無駄にすることがなくなります。

すばやく問題を解決するには、システムや周辺機器が故障したときにすぐに業務に戻るためのツールを従業員に提供することも必要です。従業員は、すぐに交換品を入手できるプロセスを必要としています。従業員のデバイスやアプリケーションに関する情報を組織が把握していて、従業員が業務をすぐに再開できる正しい構成の新しいシステムをすばやく用意できれば、このプロセスは加速できます。

従業員がどこにいても、どのデバイスを使用していても、これらのすべての機能に簡単にアクセスできるという要件も考慮する必要があります。そして、従業員の感情、従業員の認識、サービスの指標というレンズを通して、リアルタイムのインサイトに基づいて従業員のエクスペリエンスを評価できることが重要です。これにより、組織はITの問題にすばやく対処できるだけでなく、業務遂行の方法に対する満足度も高めることができるようになります。

ビジョンの実現方法

従業員の生産性を向上させる方法について説明しました。問題は、これらすべての方法をどうやって実行するかです。

DXCが提供するDXC UPtime™は、ブラウザー、モバイル、デスクトップ、Microsoft Teamsチャネル全体を一元的に統合した、AI搭載のワークプレイスサービス向けワンストップショップです。IT部門とのコンタクトを簡素化し、つながり続けることができるUPtimeの直感的なアプローチは、これまでに多くの従業員のエクスペリエンスと生産性を着実に向上させてきました。このソリューションには、次のような機能が統合されています。

  • UPtime Experience Gateway:すべてのITワークプレイスサービスにアクセスするための中心的なインターフェースであり、従業員の生産性維持・向上の入り口です
  • UPtime Marketplace:ITデバイス、周辺機器、アクセサリなどを注文するための、円滑なセルフサービスプロセスを提供します
  • UPtime Device Management:機械学習のパターン認識と予測モデルを活用して、PCのパフォーマンスを測定、最適化し、PCの寿命を延ばすとともに、セキュアな適合環境で安定性と可用性を提供する、AI搭載の機能です
  • UPtime Digital Assistant:30億以上のフレーズの意図を理解して従業員の質問にすばやく回答し、ワークプレイスのサポートコストを全体的に削減する、生成AI搭載のバーチャルアシスタントです
  • UPtime Experience Analytics:企業が従業員の声に耳を傾け、テクノロジーエクスペリエンスを測定することでワークプレイスの状態を包括的に把握できるようにします。さらに、継続的なサービス改善を推進します

これらすべての機能はUptimeスイートとして統合的に提供されますが、お客様組織のニーズに基づいて個別に実装することもできます。これらの機能が、シームレスな従業員エクスペリエンスを生み出すためのツールとして包括的に提供され、解決プロセスを支えることで、生産性を向上します。たとえば、問い合わせの解決時間は、人間のサポートエージェントでは平均15分かかるのに対して、Digital Assistantを利用した場合は平均3分です。UPtime Digital Assistantで問題の解決時間を短縮することができますが、同時にUPtime Experience Analyticsを使用することで、CIOは迅速な結果であっても必ずしも従業員の最適なエクスペリエンスにつながらない可能性についても検討することができます。

生産性の状況を正しく把握するには、従業員の全体像を把握するためのデータ、サービスデスクのエクスペリエンスを測定するためのデータ、従業員からの質問に関するデータ、機械学習モデルに情報を提供して継続的改善を推進するためのデータなど、豊富なデータへのアクセスが不可欠です。DXCは、世界中で管理している690万台以上のデバイスからのデータを活用できるため、どのような問題が発生しているかを常に把握し、その知識をすべてのお客様のための問題解決にプロアクティブに適用しています。DXCがUPtime Digital Assistantのお客様と行っている年間4,000万件のやり取りから得られる総合的なインサイトは、必ずやお客様のお役に立てるはずです。

DXCのソリューションは、お客様自身のデータも活用し、お客様特有の問題の解決にも役立てます。ある大手製造業のお客様では、継続的な学習を行うDXCのDigital Assistantが、企業固有の未知のフレーズの70%を30日以内に学習しました。このデータは、Digital Assistantが従業員の問題を解決する能力をさらに高めました。

DXCの調査では、生産性を向上させるためにUPtimeアプローチを採用すると、サービスデスクチケットが減り、問題解決までの時間が平均80%短縮されるなど、好循環が生まれます。サポートスタッフは、多数の問題に気を取られることなく、より細心の注意を必要とする難易度の高い問題に取り組み、解決に向けてより多くの時間を費やすことができます。

UPtimeを利用するお客様の中には、70%ものチケット削減率を実現でき、ITインシデントを平均で月2件から1.5件に減少させたケースもあります。UPtimeを利用しない場合、従業員は問題の解決に平均で約3時間を費やす可能性があり、企業にとって月々の生産性が大幅に低下します。従業員の時間が、デバイスの問題の発見と理解、再起動、ナレッジ検索、自力での解決の試み、ヘルプデスクエージェントからのサポート待ち、問題解決状況のの確認といった作業に費やされてしまうと、顧客対応やプロセスの合理化といった重要な業務に充てる時間が無くなってしまいます。

対照的に、UPtimeでは、ユーザーに影響を与える前に問題をプロアクティブに解決する機能、リアルタイムのチャットで解決策を提示する機能、問題が解決されたかどうかを確認する機能により、インシデントの解決にかかる時間は月平均でたったの30分です。PCのパフォーマンスの向上や初期設定の迅速化など、UPtimeのその他の機能と組み合わせることで、企業は1か月あたり15時間以上の生産性向上を実現できます。従業員が業務に集中できるようになり、従業員の満足度と定着率にプラスの影響が生まれることも重要です。

現在の企業によって、適切なテクノロジー投資を行って従業員の生産性を最大化することは明らかに重要です。革新的なAI機能を積極的に活用してモダンワークプレイスを変革するというDXCの目標は、この重要事項に対する取り組みを支えるものです。あらゆる業界の企業の従業員の力となって、パーソナライズされた有意義なAIエクスペリエンスを創出するとともに、企業が持続可能なワークプレイスエコシステムを構築して、ITコストを削減できるようご支援いたします。


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著者について

著者について

Jeff Monaco
DXCモダンワークプレイス担当バイスプレジデント。