成長の原動力 | 2025年1月1日
大きな志と小さなスタートでAIの効果を実証
AIはすでにあらゆる業界の注目を集め、創造力をかき立てています。初期の段階でも、AIエージェントから自動運転や個別化医療に至るまで、組織は目覚ましい成果を目の当たりにしており、将来に対して大きな期待を寄せています。
さまざまな業種のお客様を支援し、AIの潜在能力を引き出してきたDXCの経験によれば、AIトランスフォーメーションによるメリットが最大限に発揮されるにはまだ時間がかかると多くの組織が考えています。
それでも、大きな志を持ちながらも(Think Big)、小さくスタートし(Start Small)、すばやく成果を実証する(Quick Wins)という方法で最初の飛躍を始める組織の例はさらに増えると予想されます。
この方法には、大規模かつ包括的なAIをすぐに整備するのではなく、業界内の特定の弱点に対処する小規模かつ特化したアプリケーションを実装することが含まれます。これにより、段階的な導入と確実な統合が可能となり、AIの使い方を学びながら洗練させていくことができます。
作業に応じた柔軟な適応力
AIは、組織による意思決定や、サービス改善、業務完遂のための強力な助けになりつつあります。特にAIエージェントは、膨大なデータセットを驚異的なスピードで分析し、何百ものプロセスを自動化し、すぐに活用できるインサイトを提供するものとして、さまざまな業界で活用事例が見られるようになっています。
そしてまもなく登場すると予想されているものが、複数のインテリジェントなエージェントやシステムが相互作用して機能するマルチエージェントシステムです。これはエージェンティックAIと呼ばれる新しいアプローチの一部であり、複雑な情報や目標を理解して解釈し、膨大なデータセットの継続的な学習と分析に基づいて行動することで、人間の作業をさらに補強します。
このような新しい作業方法は、政府機関にも現れ始めています。政府機関では、時間がかかる無数の作業や、管理すべき膨大なデータ、非効率的なプロセスによるリソースの消耗と生産性の低下に悩まされていることが多いからです。
重要かつ反復的な業務の自動化
金融サービス業界と保険業界は、大きな変革期を迎えています。これは、テクノロジーがビジネスのあり方を変え続けているためです。特に生成AIは、引受業務やリスク評価から請求処理、カスタマーサービスにいたるまで、業務に大変革をもたらしつつあります。
多くの企業はAI戦略の策定に苦慮していますが、そのなかでもEquitable Holdingsは、AIによる成果をすでに挙げています。Equitableは、既存のチャットボットが古くなったことから、30日間で新しいチャットボットを構築しました。生成AIの力を活用して、数千ものドキュメントを数分で分析することで、人間のエージェントが顧客からの問い合わせに迅速かつ正確に対応できるようになりました。
患者ケアの未来を創造
イノベーションが多くの業界を再構築していますが、AIの変革力を最も強く感じているのはヘルスケア分野です。AIの能力によって、複雑なプロセスが自動化され、新しい発想がもたらされることで、医療提供者が患者をどのように診断し、治療し、管理するかについて可能性が広がっています。
たとえば、医師はまもなく、マウスを数回クリックするだけで抗生物質の処方をAIによってパーソナライズできるようになる見通しです。これは、Singapore General Hospitalと共同で開発した最先端のツールの一部であり、抗生物質の使用について重要な決定を下す医師を支えます。
このソリューションは、患者の臨床データを分析して抗生物質が必要かどうかを判断し、適切なモデルと投与計画を提案します。
DXCはSAPと協力して、パーキンソン病に苦しむ人々を支援するAI搭載のモバイルアプリを開発しました。このアプリは、AIを利用して患者の症状をリアルタイムに測定し、データを分析して、パーソナライズされた知見を医師に提供します。
これにより、それぞれの患者に固有の状態に合わせた、より正確な診断と治療計画が可能になり、全体的な治療の質が向上します。
交通の未来を先導
デジタル化が進み、たくさんのモノがつながり合うこの世界では、AIなどの新しいテクノロジーによって車やドライバー、そしてそれらを取り巻くインフラの間でデータや情報が直接やり取りされるようになっており、自動車業界では目覚ましい変革が起きています。
AIを搭載した診断ツールを利用することで、自動車メーカーやメンテナンスサービス事業者は、潜在的な問題が致命的なものになる前に容易に特定できます。これらのツールは、車載センサーからのデータを分析し、機械学習アルゴリズムを使用してコンポーネントの故障の可能性を予測し、ダウンタイムとメンテナンスコストを削減します。
AIは、自動車が個人のニーズに応える方法にも革新をもたらしています。このため、自動車メーカーは、ドライバーや同乗者ごとの好みに合わせて、自動車のあらゆる面をパーソナライズできます。
協業によるAIイノベーションの促進
新たなAIの時代においては、どの企業も単独で成功することはできません。孤立して活動すれば、取り残されるリスクを負うことになります。
ジョイントベンチャーや、戦略的パートナーシップ、カジュアルな協業などを含む様々な連携を推進することで、組織はリソースと専門知識を共有し、新たな市場を開拓して、AIを実験段階から戦略の中核的要素へと迅速に移行させることができます。
業界特化型AIイノベーションハブやセンターオブエクセレンス(最近発表した当社とServiceNowのケースなど)の存在は、リソースや、スキル、知識を結集し、多分野にわたる専門家の協力を促進するため、大きな効果をもたらすAIのユースケースを見いだすことができます。
これにより、共に学ぶことができるインサイトと、AIが実現する未来の可能性を広げたいという意欲に基づいた、より広範な実装に向けた基盤が整います。これこそが、DXC AI Impactアプローチの要であり、当社のコンサルティング、エンジニアリング、テクノロジーの専門家からなるチームが主導して取り組んでいます。