2023/7/28
by 岩坂 克巳 & 村田 竜二
 

「保険」と聞いて多くの方が思い浮かべるのは、医療保険のような生命保険、損害保険では自動車保険といったところではないでしょうか。保険商品は、パンデミックや紛争、サイバー攻撃といった大きなリスクに対応するもの、コンサートや旅行のキャンセル、人間やペットの健康といった日常生活に潜むリスクに対応するものに分類できます。リスクのあるところに保険あり。今回は、「保険」とDXCとの関わりについてご紹介します。

 

保険商品は世相やトレンドに合わせて変化する

「保険」の起源は17世紀、イギリスで牧師たちが組合を作り、それぞれが万が一に備えて遺族に生活資金を出し合っていたことにさかのぼるとする説があります。一方、日本については諸説あるものの、仲間の共済互助を目的とする頼母子講(たのもしこう)のルーツはすでに鎌倉時代の文献に表れていたようです。また、近代保険を日本に持ち込んだのは福沢諭吉であるというのが定説です。保険の社会的な存在意義は、昔から大きく変わっていません。

保険業界を含む日本の金融業界は長年「護送船団方式※」によって保護され、自由競争が阻害されてきました。しかし、1996年の保険業法の抜本的な改革や金融ビッグバンにより、金融業界でも激しい企業間競争が始まります。これをきっかけに多数の外資系保険会社が日本市場に参入し、この流れはDXCの保険業界向けビジネスにとっても大きなチャンスになりました。※ある業界のなかで経営力・競争力に欠ける企業が生まれないように行政が配慮すること。

保険商品のトレンドは時代とともに変化してきました。バブル期には、変額保険や一時払養老保険のような資産運用目的の商品が人気を得ています。近年では新型コロナウィルスやサイバー攻撃に備える商品が多数提供されています。保険業界は、いつの時代でも世相に敏感な業界と言えるでしょう。

1980年頃の日本では、既に生命保険の世帯普及率が90%を超えました。その後、保険業界では「いかに魅力ある商品開発を行うか」が最大の課題となったのです。また、保険が担う社会的な存在意義(変化しない部分)と保険商品のトレンド(変化する部分)へのIT投資のバランスも、保険会社各社の悩みの種となりました。次項では、DXCがどのように保険業界をサポートしてきたのかを説明します。

 

グローバル市場で唯一無二の保険業界向けITソリューションを提供

DXCは、40年以上にわたる保険業界向けのビジネスを通して積み重ねたケイパビリティを生かし、契約管理システムを積極的に提供してきました。リーズナブルなコストで洗練された機能を備えた契約管理システムの導入を実現し、2000年代には多くの外資系保険会社の日本進出をサポートした実績があります。DXCの契約管理システムは国内の生命保険会・損害保険会社・再保険会社を含む多くの保険会社で継続的にご利用いただいており、中でも生命保険会社のシェアは約3割(40数社中12社)を占めています(2023年6月時点)。

契約管理システムは、すべての契約情報のマスターとして保険契約を維持・管理する目的で使われ、保険会社にとって最も重要となる基幹システムです。また、契約情報の一元管理、保険契約ライフサイクル全体の管理を担う存在でもあり、前述の保険業界における「変化しない部分」を支えています。

加えてDXCでは、「保険数学」と呼ばれる、計算に特化したシステムも提供しています。保険数学については「Webページで年齢や性別などを入力して、保険料の見積を行う際に動くシステム」と言えばイメージしやすいかもしれません。すべての保険商品は計算式で成り立つものですから、これも保険業界の「変わらない部分」を支えていると言えるでしょう。DXCは、保険商品の成り立ちから保険契約まで、「変わらない部分」を包括的に支援することで保険会社のビジネスの安定性や信頼性の向上に貢献しています。

一方で、「変化する部分」を支えるのは、商品管理や顧客エンゲージメント管理、マーケティングオートメーション(MA)などのシステムです。DXCは、これらのシステムも長年にわたり提供してきました。

「変化しない部分」をリーズナブルなコストでご提供することで「変化する部分」への投資を促進しながら、双方をワンストップでご支援できることがDXCのひとつの強みであり、お客様から高くご評価いただいているポイントでもあります。また、DXCのソリューションの特徴は、「変化する部分」と「変化しない部分」を完全に独立させることで、機動性を高めている点です。契約管理システムの機能を維持しながら、商品管理や顧客エンゲージメント管理、MAといった新たな機能を柔軟かつ迅速に整備し、連携させることができます。

保険業界の「これから」:「変化する部分」へのIT投資

近年ではIT業界を始めとする異業種から保険業界へ参入するケースが増加傾向にあります。今後も同様の動きは加速していくでしょう。また、さまざまなWebサービスの発達などにより、顧客が自ら情報収集を行い保険会社のサービスを比較検討しやすい時代でもあります。今後の保険会社各社は、同業他社との差別化、企業価値を高める取り組み、顧客エンゲージメントを高めるより良いサービスの創出がますます求められます。

そこで有効になるのが「変化する部分」へのIT投資に注力して自社の競争力を高めることです。「変化する部分」に関連するシステムには、最新のテクノロジー(クラウド、AI、データ分析ツールなど)を迅速に取り入れることが求められます。

DXCは、保険業界に関する深い専門知識に基づき、最新のテクノロジーを最も有効な形で活用することで、「変化する部分」への対応を強化するソリューションをご提供することが可能です。保険業界のお客様が必要とするあらゆる領域・分野に精通したスペシャリストチームが、最新のテクノロジーによるビジネス革新をご支援いたします。

またDXCは、アナリティクス、アプリケーション、セキュリティ、クラウド、ワークプレイスなど、あらゆるIT領域に知見を持つスペシャリストチームも擁しています。

世界各国で市場をリードするパートナー企業と強力に連携し、グローバル規模のエコシステムを有しているのも大きな特長です。DXCとパートナー企業の機動的なコラボレーションによって、変化の激しいIT領域のビジネスをさらに拡充していきます。

DXCは、競争力や業務パフォーマンス、顧客体験のさらなる向上に挑む保険業界のお客様にとって唯一無二のパートナーであり続け、ひいてはたくさんの保険契約者のより良い生活を支える存在であり続けるべく、今後も邁進してまいります。ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問合せください。

DXCがご提供する保険業界向けソリューションについては、こちらをご覧ください。

 

岩坂 克巳(Katsumi Iwasaka)
DXCテクノロジー・ジャパン 保険事業本部 シニアインダストリーコンサルタント。生命保険会社の情報システム部門、生命保険会社系IT企業を経て、現職。保険業界向けITビジネスで通算30年の経験。

村田 竜二(Ryuji Murata)
DXCテクノロジー・ジャパン 保険事業本部 プリセールスコンサルタント、Product & Solution Lead。保険業界のお客様を10年以上担当し、主に自社IP製品の提案・導入支援、運用保守、移行、アップグレード等のプロジェクトに携わる。

ほかの記事を読む

アイテムを更新しています。