2025/3/18
by 鈴木 徹也 

 

デジタル人財の育成は、もはや企業変革において避けて通れないテーマです。DXを推進するには、従業員一人ひとりが変革のマインドを持ち、デジタルスキルを習得することが不可欠で、企業が生き残るための当たり前の取り組みとなりつつあります。

そのような中で、各社はあるべき姿を描き、ロードマップを策定し、DXの実現に向けた歩みを進めています。政府もまた、生成AIの発展を踏まえ、デジタル人財の育成を加速させるべく動き出しており、経済産業省は「デジタルスキル標準」を2024年7月に改訂し、企業にさらなる対応を促しています。

そこで今回は、DX実現のカギを握る人財育成の課題と解決のアプローチ、DX基盤として必須となるクラウド(AWS:Amazon Web Services)の技術と、実務・現業を俯瞰的に見ることができるスキルを習得することを主眼に置いた、人財育成(内製化支援)プログラムについて紹介します。

 

DX推進を担う「人財」不足が大きな課題

経済産業省は、「デジタル推進人材育成の取組について」(令和5年9月15日)で、企業のDX推進とデジタル人材の育成を両輪で進める重要性を指摘し、「デジタルガバナンス・コード」に基づく施策を展開しています。しかし、日本のデジタル競争力は低迷しており、2030年にはデジタル技術やデータ活用に精通した先端IT人材(デジタル人材)が45万人不足する試算もあります。

参考:https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202308/202308k.pdf

こうした課題に対応するため、企業には無理のない組織構造やマネジメントに則した人財育成プログラムが求められています。組織・集団には「2-6-2の法則」と呼ばれる経験則があるものの、これは人を区別するためではなく、変革を推進する手段として捉えるべきものです。組織内のスキルや役割のばらつきをうまく包括できる柔軟なプログラムを設計することが肝要です。

また、企業の中には、変革に向け「ありたい姿」や、その実現のためのロードマップを策定しているものの、人的リソースをはじめとするリソース不足により、実行に移しきれていない企業があります。さらに、人財育成についても、大手SI企業やコンサルティング会社などが提供する教育サービス(プログラム)を導入し、実施したものの、「通り一辺倒のプログラムで、どの程度、効果が上がったのかが検証できていない、腹落ちしていない」といった課題を抱えているのが実情です。

 

変革の内製化力を高める「人財育成」支援プログラム

こうした課題を解決する一つの施策として、内製化を進め、事業部門のビジネスアジリティを向上させる人財育成のプロフェッショナルによる支援が重要です。そこで、DXCテクノロジー・ジャパンでは、「クラウド(AWS)推進・事業部門内製化支援プログラム」という実務・現業を俯瞰的に見るスキルの習得に主眼に置いた、「デジタル人財の育成」変革支援のプログラムを提供しています。

本プログラムでは、ビジネス変革に向けてクラウドへリフト、クラウドアジリティを向上させたいものの、何から着手したらよいか分からない企業向けに、全体の目指すべき方向性についてのビジョンを描き、そのビジョンに基づいた実行プログラムを提供するものです。

DX推進には、ITリテラシーやマインド、技術はもちろんのこと、「現状の課題を認識し、改善ポイントに気づける力」が必要だと考えます。

本プログラムは、DXの基盤として必須となるクラウド(AWS)の技術と、その技術を実務・現業で利活用するために、実務・現業を俯瞰的に見るスキルを習得することに主眼に置いた、変革支援のプログラムです。これにより、内製化力を向上させ、事業部門のビジネスアジリティを向上させることができます。

主な提供メニューは「構想・企画策定フェーズ」、「実行フェーズ」、「振り返りフェーズ」となっており、一貫したサービス提供が可能です。

全体概要 ~クラウド推進・事業部門内製化支援プログラム~

ビジネス課題にあわせた柔軟なプログラムが選択可能

本プログラムの特徴は次の2点です。1つ目は、選抜型の「アドバンストプログラム」と一般育成の「スキルアッププログラム」の2階建て構成で、トップからミドルまで組織全体のスキルアップを図ることが可能な点です。

アドバンストプログラムは、単なるアーキテクチャの学習ではなく、問題解決能力を重視して育成を図ります。実務・現業を俯瞰的に見るスキルを養うため「問題解決のワークショップ」を取り入れ、参加者の日常業務の課題をピックアップし、その課題に対してどのようにクラウドサービスを適用し、構築していくのか、というDXに必要な一連のプロセスを経験できます

スキルアッププログラムは、汎用的な内容でありながらも、クライアントのビジネス課題、業務課題に沿った学習プログラムを組み立てていきます。「アドバンストプログラム」、「スキルアッププログラム」に共通した実施内容としては、ハンズオンを主とするものの、その内容も顧客企業の事業、課題に則したテーマを設定し、課題抽出ワークショップなども交え、より実践に近い形となっています。

2つ目は、企業の状況、ビジネス課題にあわせた柔軟なプログラムを選択可能である点です。企画構想フェーズから開始しても、実行フェーズから開始しても、どこからでも利用でき、プログラムの内容も企業課題に応じて柔軟にカスタマイズが可能です。例えば、すでにクラウド推進の方針が策定されている場合には、実行フェーズからスタートダッシュを図るプログラムを展開していきます。

 

導入企業のビジネスを深く理解したコンサルタントが伴走支援

本プログラムを提供するのは、DXCテクノロジー・ジャパンのテクノロジーコンサルティング事業部です。同部は、「人財」にフォーカスし、変革の推進者の育成においても、伴走者として活動しています。企業変革の支援として、全社クラウド導入の標準策定支援、運用プロセス高度化支援など、企業全体のアーキテクチャとプロセスの高度化といったビジネスアジリティを向上させるサービスを提供してきました。それらのサービス提供を通じて蓄積したノウハウや知見を生かし、本プログラムでは、企業のDX推進のフレームワークにおいて最後のワンピースとも言える「推進役」となる人財育成を支援します。

本プログラムは、「コンサルタントがお客様に寄り添い、お客様の状況に関する深い理解に基づいて伴走支援が可能」である点が特徴です。

すでに決まったアジェンダやテキストに沿って教育プログラムを提供するのではなく、ベースとなるアジェンダをお客様の要望や進捗に応じて柔軟に変更することで、お客様にとって最適なプログラムを提供することが可能です。伴走するコンサルタントも、自身が事業会社で、CCoE、DX推進者として従事していた人間であったり、構想策定を手掛ける人間もシステムエンジニアとしてシステム開発全体を俯瞰した経験者と、導入企業のビジネスを深く理解し、コミュニケーションを重視する経験豊富なコンサルタントが在籍しています。

お客様の状況にあわせた柔軟な選択が可能

もう1つの特徴は「AWSグローバルパートナーとしてのDXCの信頼性」です。私自身、AWS-DXCパートナーシップの育成プログラムを活用し、AWS All Certificated Engineers に選出させていただくことができました。プログラムでは、この私自身の資格取得の道のり、勉強方法を共有させていただくこともあります。

実際にプログラムを導入した企業の中には、AWS資格取得を定量的なKPIに定めている企業もあり、一定の効果を実証しています。

DXを推進する上では、「内製化」、「手の内化」が必要ですが、そのために「ベンダーへの丸投げや言いなりにならない」自分ごと化が重要なカギを握ります。受講企業からは、「これまでは自分たちに知見がないため、SI企業に発注し、その提案に対して、自分たちで判断できず、言いなりになっていた。本プログラム受講を通じて、変革が自分ごと化され、ベンダーの提案内容を理解、吟味できるようになった」という評価の声をいただきました。

そのほかにも「来年度も継続支援をお願いしたい」、「アドバンストプログラムについて、初年度をIT部門、次年度はビジネス部門まで拡大していきたい」などの声もいただいています。

今後も、DXCテクノロジー・ジャパンでは、お客様のDX実現のため、システム的な側面から「全社クラウドの標準化策定」、「運用プロセスの高度化・自動化」の支援を行いつつ、変革の推進者となる「人財」にフォーカスした育成を伴走してサポートしていきます。ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


About the author

鈴木 徹也  (Tetsuya Suzuki)
テクノロジーコンサルティング事業部
テクノロジーコンサルタント

日系企業でCRMオファリングセールス/コンサルタントとして活躍した後、日本企業の変革をクラウドで推進する役割を担いたいと2023年にDXCに参画。

2024 Japan AWS All Certifications Engineersに選出されている。

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