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2024/07/10
by 鈴木 徹也 

 

DXC テクノロジー・ジャパン(以下DXC) テクノロジーコンサルタントの鈴木です。2024年3月にAWS(Amazon Web Services)全認定資格を取得し、先日、2024 Japan AWS All Certifications Engineers(※1)に選出されました。

この選出を機に、同じようにAWS全認定資格取得を目指す方の参考になればと思い、私のAll Certifications Engineersになるまでの道のり、勉強方法などをご紹介します。

※AWS Partner Network (APN) に参加している会社に所属し、「AWS 認定資格を全て保持している」 AWS エンジニアを対象にした表彰プログラム

 

なぜそんなにAWS認定資格を取ったのか?

全資格取得を目指したのは、あるお客様のクラウド(AWS)移行構想策定プロジェクトに従事したことがきっかけです。DXCがオンプレミスで包括的に運用を担っていたお客様だったのですが、セキュリティを軸に、クラウドとオンプレミスのハイブリッドの両立を目指していくという、難易度の高いプロジェクトでした。

このプロジェクトに私はプロジェクトマネージャー(PM)として参画したのですが、当時私が保持していたのは、最低限の知識レベルのFoundationalと、初級のAssociateレベルの認定3つだけ(AWS Certified Cloud Practitioner (CLF) / AWS Certified Solutions Architect - Associate (SAA) / AWS Certified Developer - Associate (DVA))。Associate レベルでは、PMとしてお客様と社内をリードしていくには心もとないと思い、専門分野(Specialty)とプロフェッショナル(Professional)の認定取得を目指しました。

まずはプロジェクトの軸となるセキュリティ分野の勉強から始め、AWS Certified Security – Specialty (SCS)を取得。SCSに合格したことで自信がつき、難しいだろうと尻込みしていたProfessional 領域へもチャレンジ。AWS Certified Solutions Architect - Professional (SAP)も取得することができました。

SAPを取得できたことで、5合目までたどり着き、全資格取得への道が開け、最終的に約3年かけて全資格コンプリートできました。それぞれの資格を取得した日は、以下の通りです

表1:資格取得までの道のり

どうやって勉強したのか?

① ながらで勉強する

全資格取得を目指して勉強するぞ、と自宅や図書館で机に向かう時間を十分に作ることは、私にはできない状況でした。そのため、限られた時間の中で効率よく楽しくAWSを学ぼうと、以下のように日常生活の中にAWSを組み入れました。

  1. ジムへはタブレットを持ち込み、ランニングマシンで走りながら過去問を解く
  2. 散歩しながら、海辺でぼーっとしながら、YouTube で勉強する
  3. 家族と買い物に行く間、カートを押しながらスマホで問題集を解く
  4. 車を運転中、音楽の代わりにAWS Black Belt オンラインセミナーを聞き、耳で覚える

YouTubeについては、AWS社の公式動画コンテンツ(AWS Black Belt)以外にも、一般のYouTuber の学習チャンネルが充実しているため、多くのコンテンツを視聴しました。コンテンツは海外の方が発信しているものが充実していて、有益なものが多かったです(例えばWhizlabsなど)。

② 最初の大きな壁 Solution Architect – Associate(SAA)を乗り越える

AWSの初学者において最初の大きな壁はAWS Certified Solutions Architect - Associate (SAA)であるかと思います。初級のAWS Certified Cloud Practitioner (CLF)を取得した後、多くの人がここでつまずくのではないでしょうか。私もそうでした。理由は、ここではじめて、200以上と言われるAWSのサービスが登場してくるところにあると思います。

この時だけは、毎週末時間を作り、図書館で6時間程勉強する日々を過ごしました。AWSでは様々なクラウドならではのサービスが登場しますが、例えばデータベースでは、そもそものデータベースの機能、種類を一から整理し、そのクラウド版、AWS版というかたちで、一つ一つをノートに丁寧に書き出し、各サービスの特徴を勉強しました。

また、身近なものがどうやってクラウドで実現できるのかな、ということをよく考えていました。例えば私はゴルフが好きですが、スポーツの試合のスコアボードをクラウドで実現するには、どのようなデータベースを使うのか?と考えてみたりすると、AWSの勉強に、違った面白さが出てきました。

SAAを乗り越えると、知識の土壌ができ、以降の試験はだいぶ楽になりました。

③ 学ぶことを楽しむ

振り返ってみると、勉強を勉強と思うのではなく「学ぶ」という感覚が強かったです。上述したスコアボードの例のように、AWSを使えばこういうことができるのか、あんなこともできるのか!と、楽しく学んだ時間が多くなりました。

また、同じ志を持つ仲間を持てるとよいと思います。私の場合、プロジェクトで同じように全資格を目指すメンバーがいたので、話し合ったりする時間を持てることができ、有難かったです。

 

試験攻略方法

① スケジュールを立てる

まず初めに、とにかく試験日を設定すること。私の場合、2カ月に1試験と決めて、2カ月先に試験日を設定しました。その試験日から逆算し、1カ月前には試験対象範囲のサービスをおおよそ理解しておく、試験2週間前には過去問を2~3回ほど解いておく、とサイクルを年間である程度立てることで、準備に余裕が持てました。

② 試験時間対策を立てる

Professional、Specialtyの試験では、問題の文章自体が長文で、時間が足りないという話を聞いていました。そこで、以下のような対策を講じることで、逆に余裕を持って試験に臨むことができるようにしました。

  1. まず、設問ではなく、回答選択肢をさっと眺める
  2. 回答選択肢を眺めることで、何が問われているのか想定する(例えば、ネットワークの場合、名前解決の問題なのか、ルーティングの問題なのか)
  3. 回答選択肢を分類する(多くの問題が四択であるが、長い文章でも、大きく2つの分類に分けることができる)
  4. ホワイトボード、ペンを使う(設問で問われている構成を試験会場で配布されるホワイトボード上で絵にする。ネットワークでは特に有効)

③ クラウドの最新動向を意識する

試験問題は単なる問題ではなく、その時の企業のニーズや課題を反映する内容になるので、クラウドの最新動向に注意を払いました。

例えば、今であれば、オンプレミスからのマイグレーションとモダナイゼーション、クラウド上でいかにセキュリティを担保するのか、オンプレミスとのハイブリッド構成を実現するにはどのようなネットワーク構成が最適か、などが企業の関心事になっています。そのため、以下のようなエンタープライズ企業のニーズに即した設問が多くなると考えられます。

  • ネットワーク:オンプレミスとの接続や、セキュアな構成を実現するネットワークサービス、クラウドとオンプレミス間の名前解決
  • セキュリティ:企業の階層構造におけるセキュリティポリシーの適用、環境の分離やアカウントの構成

日ごろから、企業のクラウドに対する懸念事項や不安も意識しておくことが重要です。

またAWS からWell Architected Framework や、Security Reference Architecture など、多くの経験や実践に基づいたベストプラクティスが提供されているので、こういった素材も日頃から意識しておくことが大切かと思います。

私が考える、各試験で押さえるべきポイントとサービスについて幾つか列挙してみたので、ぜひ参考にしてみてください。

表2:各試験で押さえるべきポイントとサービス(クリックして図を拡大)

全資格を取得して、これから

DXCは、グローバルでTOGAF® (※)ベースのエンタープライズ・アーキテクチャ(EA)による企画構想策定フェーズからお客様を支援しています。私自身、一時期この資格を活かした仕事にも従事していましたが、上流工程を突き詰めれば突き詰めるほど、現代のEA策定においては、新たなビジネスを創出するテクノロジーアーキテクチャが重要となってなってくると感じています。
TOGAF®ーオープン・グループ:DXCはプラチナスポンサー

私が所属するテクノロジーコンサルタント事業部OneCloud部門では、お客様のクラウドへのマイグレーションとモダナイゼーションをご支援しています。

エンタープライズにおいては、基幹システムのみならず、LOB新規事業サービス、バックエンドの業務システムなど、様々なシステムがあります。これらのシステムをクラウドで実現するにはAWSだけでなく、Microsoft製品や、ビックデータ処理等多岐に渡るサービスを駆使したテクノロジーアーキテクチャを策定することが更に重要になります。

そのため、今後はAWSだけではなく、Microsoft Azure、Google Cloud Platform のスキル、資格を習得し、お客様にとって最適なハイブリッドクラウド環境の提案と構築をさらにご支援していきたいと思います。

プライベートでは、サステナビリティ・オフィサーとしての資格も活かして、Google、 Microsoft、AWSが取り組んでいるように、クラウドやAIの力で、私自身が住む地方都市(千葉県富津市)の課題解決、地方創生に貢献できればと考えています。

 


About the author

鈴木 徹也  (Tetsuya Suzuki)
テクノロジーコンサルティング事業部
テクノロジーコンサルタント

日系企業でCRMオファリングセールス/コンサルタントとして活躍した後、日本企業の変革をクラウドで推進する役割を担いたいと2023年にDXCに参画。

2024 Japan AWS All Certifications Engineersに選出されている。

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